SIerとは

私は14年間、メーカー系SIerでSEとして、お客様にシステムを納めてきました。
そして40代突入前に、ITコンサルと言われる会社に思い切って転職しました。

今後、メーカー系SIerの実際、転職活動についても書いていきたいと思いますが、まず初めに、SIerの立て付けについて触れていきたいと思います。

IT業界(SIer)に興味がある方、転職を考えている方などのお役に立てれば幸いです。

SIerは3種類「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」
~それぞれの違いは~

SIerは3種類「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」~それぞれの違いは~

「SIer」とは、「System Integrator」の略で、以下のような業務を担います。

・お客様の課題を調査・分析し、システムを提案する(主に営業が担当)
・受注した案件について、要件定義・設計・開発・システム構築・テスト・運用保守を行う(主にSEが担当)
・受注した案件のプロジェクトマネジメント(コスト、スケジュール、リスク等の管理)を行う(主に管理職が担当)

SIerには、プログラミングをするプログラマーもいますが、プログラミングを専門とする会社に外注することが多いです。
そのため、机にかじりついてずっとプログラミングをしていたいという方向きではないかもしれません。
お客様やチームメンバとのコミュニケーションは、わりと頻繁に発生します。

SIerは大きく、「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」の3種類に分類されます。
それぞれの特徴・メリット・デメリットをご説明します。

メーカー系SIerとは

メーカー系SIer

メーカー系SIerは、パソコンやストレージといったハードウェアメーカーの中のソフトウェア開発部門やSI部門が独立し、グループ会社として設立された会社を指します。
「日立システムズ」、「NECソリューションイノベータ」などが該当します。
メーカー系SIerの特徴として、独自事業の割合が少なく、案件の多くを親会社からもらっています。

ユーザー系や独立系と比較し、官公庁など国のシステムや、都道府県、鉄道など、規模の大きな案件に携われる機会が多いです。
ハードウェア、ソフトウェア双方製品として持っているので、トータルで提案できることも強みです。
手掛ける領域も多岐にわたり、医療、公共、金融、リテール、航空など様々です。
また、多くは大手なので、社内システム、勤怠管理、教育が充実しています。

一方、安定していると思われがちですが、親会社に依存している分立場も弱く、常に従属する形になります。
親会社と密な関係にあるからこそ、見積額の低減をミリミリ迫られることもあります。
親会社と同等の業務をしているのに、給料が違う、といった不満もしばしば。
また、業績も親会社と運命を共にすることになりますので、親会社の業績が傾けば、傘下にいるSIerはより大きなダメージを受けます。

ユーザー系SIerとは

ユーザー系SIer

ユーザー系SIerは、銀行や保険会社といった様々な民間企業のシステム開発部門、情報システム部門が独立し、グループ会社として設立された会社を指します。
「伊藤忠テクノソリューションズ」、「NTTデータ」などが該当します。
ユーザー系SIerは、親会社のシステム開発、SI、運用保守を手掛けます。

親会社は大手企業である場合が多く、IT投資もなされているため、安定的に事業を受注できる環境にあります。
メーカー系と異なり、お客様は親会社であり、扱うシステムも親会社のシステムに限られます。
様々なジャンルを幅広く経験したい人向きではありませんが、一つのことを極めたい人、その道のエキスパートになりたい人にはとても良い環境と言えます。
また、コミュニケーションもグループ会社内の人間がほとんどであるため、社外のお客様を対象にする場合より業務を進めやすい傾向にあります。

一方、ユーザー系SIerも、親会社の経営事情の影響は少なからず受けます。
また、担当する業務の幅が狭いため、飽き性の人、探求心の強い人、先進技術に触れたい人には向かないかもしれません。

独立系SIerとは

独立系SIer

独立系SIerは、メーカー系SIer・ユーザー系SIerと異なり、親会社が存在しません。
メーカー系SIer・ユーザー系SIer以外のSIerはすべて独立系SIerと言えます。
「ワークスアプリケーションズ」、「SCSK」、「オービック」などが該当します。
SI案件も請け負うことがありますが、メインはソフトウェア開発となる場合が多いです。

ハードウェア製品を持たない分、メーカーに縛られないため、ハードウェア、ソフトウェアを柔軟に組み合わせ、システムを提案できることが強みです。
親会社の事業に縛られることもないので、独自に事業を拡げることができますので、幅広い分野で活躍したい方には適した環境といえます。
また、親会社が無い=拠り所がない、という立場からか、当事者意識の高い人材が多いように思います。

上記メリットはデメリットにもなり得ます。
親会社が無い分、高い営業スキルを身に着け、数字に出さなくてはなりません。
また、ハードウェアが無い分、受注した案件の開発で利益を出していく必要があります。
故にスキルが磨かれていくわけですが、メーカー系SIer・ユーザー系SIerと比較して離職率が高いという点は留意しておく必要があります。

SIer(IT企業)に就職するには

SIerに就職するには

SIerに就職するには、とりわけ以下のスキルが必要だと思います。
文系・理系は問われません。

・コミュニケーションスキル
 これはとても重要です。お客様やチームメンバとのコミュニケーション機会が多くあります。
システムの要件や設計もコミュニケーションありきですので、コミュニケーションスキルは高くある必要があります。

・IT技術を継続的に学習するスキル
 新卒の場合、入社時点でのIT技術は問われないことが多いです。
しかし、担当する領域の技術は自身で継続的に勉強していく必要があります。
ITに興味がない人だと結構辛い作業となります。
IPAが主催する国家資格や、PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)の取得も目指すと良いでしょう。

・忍耐力
 働き方改革が進んだとはいえ、システムのリリース時期は残業が増える傾向にあります。
また、リリース前のテストも、同じ試験を何度も実施したりと、過酷な場合が多いです。
私自身、Windowsの再起動試験を十数万回実施する(自動化できないケースだった)、という単純作業ばかりを、残業月100時間越えでひたすら実施したこともあります。 これは特殊ケースかもしれませんが、多かれ少なかれ忍耐力は必要です。

まとめ

SIerに必要なスキル

いかがでしたでしょうか。
AIに仕事を奪われるなどと叫ばれる昨今でも、SIerは当面存続するのではないかと考えています。
なぜならば、お客様の課題提起、提案するシステムの構想検討など、創造性が必要な業務が多くあるためです。
またSIerというとシステマティックに聞こえがちですが、上述のとおり対人スキルを必要とする有機的な業種、と言うこともできます。
SIerを名乗る企業も多岐にわたりますので、様々な企業を比較検討できるも良い点ではないでしょうか。

今後、私が所属していたメーカー系SIerについて、体験談を踏まえ、深く掘り下げていきたいと思います。





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