

私は約15年間、メーカー系SIerに勤めていました。
保守的な社風ということもあり、私も一生、この会社と共にするのだろうと思っていました。
これまで辛いときは幾度となくありましたが、どこに行っても辛さは付きまとうものだと思ったからです。
それに、属している集団から外れるのも怖かった。
周囲の期待(なんて無かったと思うけど・・)を裏切ることになるかもしれないし、転職だなんて切り出しにくい。
周囲の目ばかり気にしていました。
でも昨年、ついに退職を決断しました。
理由は色々ありますが、ここでは、勤めていたメーカー系SIerで感じたデメリットにフォーカスしたいと思います。
ネガティブな内容ですが、長く勤めていたからこそ語れることだと思います。
親会社の下請けという立場の弱さ

メーカー系SIerあるあるだと思いますが、やはり親会社の傘下である以上、親会社の力がとても強いです。
親会社の経営状態が安定していれば、悠長に構えていても安定が得られるというメリットはありますが、もちろん、甘い汁は親会社が先に取ってしまうわけです。
親会社から案件を受け、見積もりを出すわけですが、もちろん見積もりはミリミリした削減交渉が入ります。
子会社であるメーカー系SIerは、費用削減のために、より安価な単価で成果を出してくれるパートナー会社を使う前提で見積もりを作らなくてはなりません。
自社も人員が余っており、業務をあてがわなければならない状況下であっても、パートナー会社に委託する前提での安価な見積もりで、案件を受注するわけです。
したがって、原価率は非常に厳しいものとなります。
そして、短期でも使ってもらえるのであれば、利益が出ない案件でも人を出すという、いわゆる人貸しビジネスとなるわけです。
システムエンジニアといっても、技術力に乏しい、ゼネラリストになりがち

IT業界は人材が全てといっても過言ではありません。
しかし、上記の通り、安値で食いつないでいるその日暮らしでは、なかなか人材は育成されません。
コーディングなどの製造フェーズはパートナー会社に出すわけですから、技術力が身につかないのです。
メーカー系SIerの社員の多くは、プロジェクトマネジメントが主な業務となり、コアな技術力がつかないまま、ゼネラリスト化します。
これは親会社の方が顕著に見られます。
いかに低コストでプロジェクトを完遂できるか、それをマネジメントすることが信条となるのです。
もちろん、開発研究部門は存在し、一握りの社員は、技術的に長けています。
ただし、そこに所属するのはかなりの難関と言えるでしょう。
社内政治を制した者が昇進する

内資の大企業であれば少なからず存在する社内政治。
私が勤めていたメーカー系SIerも御多分に漏れず存在していました。
何かを相談するにも、必ず順番があります。
しかも、一つの案件でも様々な部署が関わっているため、伺いを立てるためのステップの多いこと。
誤ってどこかを抜かしてしまうと、関係性が悪化し、次回からの発注に支障をきたすこともあります。
このような文化では意思決定も遅くなりますし、心的ストレスも結構なものになります。
この社内政治を上手くやりくりできた人は、昇進も早いです。
AさんとBさんでは、明らかにAさんの方が生産性は高いのに、Bさんが先に昇格する。
よく見ると、Bさんは根回しが上手く、上層部との掛け合いも上手い。
これはこの会社に限ったことではなく、日系企業で多く見られる傾向だと思いますが、私はどうしてもこのドロドロした内部事情がイヤでした。
最近は、こういった文化を変えようと変革を起こし始めているようですが、根付いたものはすぐには変わらないでしょうね。
保守的で向上心のない窓際族

メーカー系SIerのメリットとして、仕事ができなくても、昇進さえ望まなければぬくぬくとそこそこ安泰な生活を送れる、ということではないでしょうか。
ただ、日々売り上げや原価率をチクチク言われながら頑張る社員にとっては、こういった一部の社員を好ましく思うはずがありません。
私は決して仕事ができる人間ではありませんが、私たちがサービス残業で頑張って稼いだこの金の何パーセントがこの種の社員の給与に回っていると思うと、モヤモヤしてしまいます。
社風的に、わりと保守的な人が集まっているということもあり、おかしいと思っても声を上げる人がいませんし、そのような文化もありません。
それでも、転職は慎重に!

このように、勤めていた会社が持つメリットより、デメリットの方が膨らんだとき、私は転職に踏み切りました。
始めての転職ですから、だいぶ思い切りが必要でした。
不安ももちろんありました。転職して、もし後悔したら目も当てられないと思いました。
転職先のことはまた改めて綴っていこうと思いますが、やはりキツいことも多々あります。
でも、自分で決めたことであれば、一歩ずつでも進んでいけるはずです。
ただ1つ、思い残すことがあります。
それは、給与面です。
私は自尊心が低いということもあり、給与面の交渉は一切しませんでした。
転職により、年収が100万以上下がることになったのですが、当時は、ITコンサルは未経験の領域だし、こんなもんだろうと思っていました。
でも今思えば、当然ですが、給与はとても重要です。
これから転職を考えられている方がいらしたら、給与の交渉はダメもとでもした方が良いとお伝えしたいです。
未経験だとしても、前職の経験を活かせるから転職できるわけです。
転職エージェントは転職させることが目的ですから、中にはそういった重要なことを一切伝えず、どこに入れられれば良いとしているところが多いと思います。
そのため、年収アップを強みとするエージェントは、絶対登録しておいた方が良いと思います。
私は、複数のエージェントの同時並行は、「担当者に悪い」、とか、「同時並行するほどの時間もないし」と思い、エージェント一社でしか活動しませんでしたが、間違いでした。
複数のエージェントを登録して活動した方が良いです。
そして、年収アップを強みとする、ビズリーチは登録しておいて損はないと思います。
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